京都小噺特別編
(犬の小噺+いのししの小噺)

1 西郷さん 

西郷隆盛の銅像は、浴衣姿で犬を連れていますが、それを見た夫人が「そんなだらしない 格好をした人じゃなかった」といったといいます。
実は、犬もそれを見て盛んにほえまし た。
「おまえも自分が似てないというのか」
「いや、散歩のとき、糞の袋をもっていないマナー違反をとがめたのです」


2 落語「犬の眼」続編 

犬の目に代えてよく見えるようになったので、今度は「口も代えれば何でも噛み切れる」 と、犬の口に取り替えました。 2,3日後
「どうでした?」
「いや、歯は丈夫になったのですが、ぺディグリーしか食べられなくなりました」


3 鳴き声

「日本の犬はワンワンと鳴くが、アメリカではバウワウだよ」
「そんなことないよ。この間、アメリカ人が毛並みのきれいな犬を見てワンダフルといっ ていたよ」 


4 幕末 

勤皇の志士が歩いていると誰かがぶつかったので、怒って 「お前は幕府の犬か?」 いわれた人は犬を連れてた中国人 一言「チャウ、チャウ」 * チャウ、チャウは、中国の犬です。関西でしか通じないかな? 


5 ハチ公の銅像 

「渋谷駅前のハチ公像知ってる?」
「うん、主人の帰りをいつまでも、いつまでも待ってた偉い犬だろ」
「そうなのよ、そこをデートの待ち合わせ場所にしましょう」
「おい、おい、それはないぜ。僕をいつまでも待たせる気なんだろう」


6 干支

「昔は干支の始まりは犬からだったんだよ」
「うそだろ!」 
「だって、犬はナンバーワンというし、最後の鳥はトリというし。」
「じゃーどうしてねずみが最初になったのだ?」 
「それは、イタリアからだよ。トップジージョというだろ」 
* もちろん、全部うそです。 


7 逆立ち犬 

電信柱を見ると両足を上げて逆立ちする犬がいます。
「君は珍しい犬だね。」
「いや、そんなことありませんよ。ただ、不精なだけです。明日散歩に出るのが面倒なの で、明日の分もまとめて足を上げたのです」 


8 冬 

冬は寒いので、犬も猫も閑居して不善をなします。犬は恐喝をし、猫はその成果をかすめ ます。歌にあるでしょう。
「犬はほころび皆かぎまわり、猫はお札で悪くなる」 
以上の小噺は、友人の依頼に基づいて正月の初めに作ったのですが、発表が大幅に遅れま した。そこで、お詫びのため、来年のいのししを二つ作りました。お役に立ててくださ い。 


9 猪突猛進

「いのししは、まっすぐに進むのでしょう。そこで、捕まえ方を考えたよ」 
「どうするんだい?」
「山道にいのししを追いたて、行き先に大きな刃をこちらに向いて置いておくのさ。する と、まっすぐ飛び込んだいのししがスライスされるのさ」 


10 複数の名前

「いのししは、子供のときは、しま模様があるので、うり坊といわれているのさ」
「それなら、生涯で名前を3つ持つことになるのだね」
「えっ?うり坊、ふつうにいういのししだけじゃないの?」
「いえ、もうひとつ、死んだ後は、肉になってぼたんだよ」